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歌集評を書く [短歌]

「塔」入会後一年を過ぎた頃のことだから、三十余年も
前のことになる。
古い会員であるKさんが第一歌集を上梓された。
そして私に「塔」に掲載される歌集評を依頼されたのである。
私は驚いた。Kさんは私よりかなり年上のベテラン会員。私はまだ
「塔」に数回ほど作品が載っただけ。そんな私に大役を
振ってくださったのだと思うと、いい加減なことはできない、
という強い気持ちがわいてきたことを、今も覚えている。

文章は好きでよく書いていたが、歌集評は初めて。
どう書くべきか、総合誌や「塔」のバックナンバーなどを
あれこれと読み漁ることに。歌集評と一言で言っても
様々な書き方があり、その方向性は歌集の内容や
スタイルによってもかなり違うのだ、と言うことを学んだ。

Kさんの歌集にはつらい経験を詠まれた作品がある一方、
すてきな自然詠もあり、情感豊かな日常詠も沢山あった。
私は、作者の境涯には少しだけ触れつつ、
表現への試みを掬い取る、そういう歌集評を書こうと、
思ったことを覚えている。どれだけうまくいったかは、
よくわからないのだが、kさんは喜んで下さった(と思う)。
私はこんな機会を与えて下さったことに改めて、強い感謝の
気持ちが湧いてきたのだった。

今夏私は『郷土菓子のうた 甘味の地域文化誌』を上梓したが
その書評を、お若いUさんにお願いした。Uさんは歌集評を含め、
書評の経験はないはず。依頼した時、断られるかもしれない、
とちょっと危惧した。依頼後まもなく開かれた夏の大会の時
彼女に尋ねると「大丈夫、書きます」と頼もしい雰囲気だった。

そして・・。掲載されている11月号を開くと・・・。
素晴らしく丁寧に読み、そして痛いところも突きながら、よく
書き上げてくれていた。お願いしてよかった!、としみじみ思った。
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予防注射 [生活]

三年前と、四年前、続けてインフルエンザにかかってしまった。
例月の歌会を休んだほか、一年に二、三度しかない大学の同窓生
だけで行っている歌会も欠席。家族をはじめ、多くの人に
迷惑をかけてしまった。それで、以後は予防注射を受けることに。
注射は苦手だし、子供の頃、何の予防注射か覚えていないのだが、
ひどく体調を崩してしまって辛かった記憶もあり、極力避けて
きた。とはいえ、今年も家族が強硬に言うので、やむを得ず、
受けることに。

近くの内科に予約を入れたのは今月の初め。最短で20日、と言われ
昨日、受けてきた。注射自体はさほど痛くはなかったのだが。
数時間したら、ものすごく腫れてきた。打たれた左上腕部に
小型の中華まんじゅうを張り付けたみたいである。
そして、すごく痛くて、まったく力が入らない・・・。
注射されるとき「利き腕はどちら」と確認され、
その逆の腕に打たれた意味がわかった。利き腕だったら
かなり不便だったはずだから。夕方になると、くしゃみや
鼻水が出てきて、ほとんど風邪の症状が出てきてしまった。

毎晩、ほんの少しだけ「眠り薬」代わりに呑むお酒を
止めて早々に寝床に就く。朝はかなり腫れが引いていて、
風邪っぽい症状も収まっていたのだが。

実は内科で順番を待っていた時に見た週刊誌に
「予防注射なんて無意味」と言うような記事が載っていて、
なんだか、出鼻をくじかれる思いがしたのだった。
予防注射ってどれだけ効果があるのだろう。とりあえず、
注射を受けたこの二年間は、風邪は引いたものの、
さほど酷い症状にはならなかったのだが。
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第63回角川短歌賞 [短歌]

角川書店発行の「短歌」の11月号は、毎年
角川短歌賞の発表号。ここ3、4年は、ピンとこない
作品が多くて、複雑な気持ちだった。ああ、今は
こういう作品が評価されるのか、なんだかなあ
と、今一つ納得できない気持ちがしていて・・・。

でも、今年の受賞作「十七月の娘たち」は、読み
始めた途端、ああ、きっと、好きになれそう。
読み終わって、かなり好きかも、とまた思っている。
怖い西洋の童話的な作品が特に好みである。

 春の夜によそふシチューのごろごろとこどもの顔沈みゐるごとく
 わが飼へる苺ぞろりとくづほれてなすすべもなし春の星夜に
 天文台の昼しづかなるをめぐりをりひとり幽体離脱のやうに
 真夜中の人の胃のなかにゐるやうでなまあたたかし春の嵐は
 人らみな羊歯の葉ならばをみなともをのこともなくただ憂ふのみ
 われを呼ぶ猫の小声に戸を開けばただひた闇のひたやみしこゑ
                         睦月都

このあたり、みんな、いいなあ、すてきだなあ、こんな歌こそ、
詠みたいし、読みたい! とドキドキしながら読み進んだ。
もちろん、「?!」と思ううたも混じっている。私なら、
ここはこうするけどなあ、とか、思ってしまう歌もあったけれど。
久しぶりに、すてきな短歌に会えて、また歌への思いを新たに
できている感じがする。
ただ、難を言うと、テーマの中心に据えられているはずの
「娘」の有り様というか、作者にとっての作品の中の
「娘」像がやや曖昧なのではないかという感じはした。
ぼんやりと中空に漂い、まだ形を成していないような・・・。
そういうところも、魅力かなあ、と好きになってしまえば
思えちゃうのだけれども。

選者の小池氏は「様式美」と讃えられている。ただ、題の「十七月」
の意味がよくわからない、と選者の皆さんが戸惑われていた。
私はたぶん「永遠の五月」なのではないか、と推測する。
(同じようなことを、選者の東直子さんも言われている)。
歌の中に、秋や冬を感じさせる作品はほとんどない。
早春から初夏。そこに限定されている。作者の心が
いつも帰っていく、帰っていける季節、なのではないだろうか。
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蝙蝠の話 [映画]

WOWOWで時々放送される「Natural World」。
今月は「人気者じゃないけれど」の三部作で、
蛙編、パンダやムツゴロウなどはみ出し者編、
そして最後はメキシコのヒメハナナガコウモリだった。

いずれも抜群に面白かったのだけれど、今回、この
変わったコウモリの話を取り上げてみたい。何しろ、
メキシコではコウモリがなくなれば、お酒が飲めない、
という。まるで「風が吹けば桶屋がもうかる」類か、
と思いきや、もっとダイレクトに深刻な問題なんだった。

メキシコのお酒と言えば、テキーラ。その原料はご存知、
龍舌蘭。このサボテンの受粉は、ひとえに、ヒメハナナガ
コウモリに負っているのだという。だから二十年近く前、
このコウモリが激減した時、酒のみの間に激震が起きた、
とさえ言われてたとか。動物学者のロドリコ・メデシンは
このコウモリの生態を調べ、保護に乗り出す。

「Natural World」のコウモリ編は、この博士のレポート、
と言う形で進められる。とにかく何やら恐ろしげな洞窟に
も入り込み、深夜の調査も厭わず、悪臭と糞にまみれ・・。
ああ、それでもコウモリ愛一心で(いや、テキーラ愛も
かなり含まれていそうだが)。

そしてコウモリの出産の場面の映像化にも成功する。
ああ、そうか、鳥じゃないんだから、子供産むんだよね、
と改めて気が付く。やはりぶら下がったままの出産。
まず手が出て、そして翼が・・。だが、すんなりとは
いかない。コウモリの羽って、複雑な形しているし・・。
赤んぼは大人とほとんど同じ形しているんだった。
ようやく出てきたところで、つるっと、落ちそうになる。
お母さんコウモリが、あわてて抱き留めているところまで
映っていた。ああ、重力に抗してのぶら下がり出産!

ヒメハナナガコウモリはその繁殖地で、かなり数が増えて
いることがわかり、しばらくテキーラの生産も
安定しそう、とのことだった。それはよかったけれど。

コウモリはやっぱ、不気味でした。花の蜜を吸う様子は
蝶のようなのに、あの怪奇な顔。陰気な色。
我が家の周りでこうもりを見かけたことはない。
いないことに密かに安堵・・・。
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堺物語(おまけ) [旅]

メーリングの歌会組織であるテルミニの
二年に一度のオフ会が済むと、毎回手作りの
パンフレットを出すことになっている。
短歌作品を五首と数百字程度のエッセイを
各自提出し、それらに写真を加えたもの。

帰宅早々、締め切りは二週間後、という指示が
MLに流れた。あまり時間はない。一昨年の自分の
作品を読み返してみたが、あまり納得できない
作品だった。それで鍛錬所で見た、刃物づくりの
過程について五首にまとめようと、図書館から
刃物に関する本を借りてきて読んだりしていた。

結局二十首あまり作って、その中から五首選んで
何とか締め切りに間に合わせることができた。
100パーセント納得の、自信作とはいかなかったが、
とりあえず、できるところで手ごたえのある作品にはなった。
と少し安堵する。

ところで、その間に、横浜での歌会があったり、書きかけていた
スイーツに関する原稿に手を入れたり・・・。

少し時間ができたので、また好きな小説でも読もう、
と思って図書館に行って驚いた! 借りようとして、
自分のカードを貸出機にかざしたら、
「返却期日の過ぎた図書があります」という警告が
出ちゃったのである。刃物の本を返すの忘れてました!

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堺物語(最終回) [旅]

歌会が終わるとすぐ、タクシーに分乗して
ホテルに戻り、荷物を引き取って駅へ。
雨は依然として激しい。台風は今、関西を通り抜けて
いるところらしい。新幹線が止まっている、
という情報はなく、とりあえず新大阪へ。

ところが、なんと南海電鉄が止まっていた!
人身事故があったそうだ。堺駅で四十分くらい
電車に乗ったまま、足止めを食らうことに。
でも、そこでも歌の話をしてしまう。
詠草を取り出して、確認している人もいたりして。
ほんと、ビョーキだよね(私もそのひとり)。

新幹線は時間通り発車した。もう、西の空は
明るくなっていて、途中、京都を過ぎる頃には、
大きな虹が出ていて、すばらしく美しい。

富士吉田あたりで、降雨が激しいとの
アナウンスがあり、名古屋を過ぎるあたりから
ノロノロ運転に変わり。家に着いたのは予定より
一時間以上遅かったのだけれど。

みんな無事に帰宅できたみたいだ。家に着いた人から、
メールに帰着の報告が入ってくる。
再来年、またオフ会で再会できることを楽しみに。
雨の堺をそれこそ、心に沁みとおるまで堪能した
二日間だった。みんなに感謝したい(この項、終ります)。

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堺物語(その9) [旅]

鍛錬所を後にし、近くの阪堺電鉄の駅へ。
昼食の予約をしてあるカフェへ移動するため。
昼食を摂りながら、歌会をする予定である。
雨脚はさらに強まっているが、風がないのが有難い。

カフェに落ち着いて、改めて詠草を読む。
担当のTさんが産業館の開館前の時間を使って、
コピーしてくれたおかげで、ざっとは読んでいたが。
一晩のうちに、雨の中を歩き回った半日の間の
経験を二首にまとめた人もいて、感動する。

私は昨夜遅く、一首だけ何とか詠み、それに
以前に作った歌を一首加えて、お茶を濁したのに。
吟行のときは、いつもどきどきする。時間の
プレッシャーに弱くて、だけれど、どこかで、
このプレッシャーがあるから何とかできるんだ、
という、開き直る気持ちがあって。人生いつも、
はらはらしながら、このプレッシャーを糧に
なんとか切り抜けてきたような気がする・・・。

外の雨音を効果音のように聞きながら、歌会は
粛々と進んだ。同じものを見ていたはずなのに、
こういう歌はできなかったなあ、と感動する作品も
ある一方で、ちょっと未消化かなあ、と言う作品もあり。
吟行会の歌会はいつも、素晴らしく楽しい。
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堺物語(その8) [旅]

正式には「堺市立町屋歴史館 山口家住宅」という
この建物、入るといきなり広い土間、そして松一本を
そのまま用いた太い梁が出迎えてくれる。
南北にやや細長い家屋は、土間に添って玄関の間、
南の間、中の間、北の間、と続きさらに奥座敷、西座敷、
次の間、茶室、北土蔵、西土蔵、など、広い広い・・・。
山口家はもと、庄屋だったらしいが、堺の黄金時代を
想像させる豊かさだった。

その後、鍛治屋敷街にある鍛錬所に向かう。
今回お世話くださったYさんの知人の方が営んでいて、
鍛錬の工程を見せて下さる、ということで
堺のオフ会で、一番たのしみにしていた企画だった。
山口家や産業会館は誰でも行けるけれど、鍛錬所の
工程を観ることはなかなかできることではないので。

鉄と鋼を合わせて、和包丁に仕立て上げる工程である。
鍛錬はテレビなどで見たことはあるものの、目前で
実際に見ると、素晴らしく迫力があった。とにかく
九百度近い熱で、鉄を打つのだから、暑いし、
火花は散るし、あたりには鉄粉が舞う。
その生々しさの中から、赤く焼けた鉄が
刃物のかたちを成していく様は、圧巻だった。

その後、法隆寺の相輪に架かっている「魔除け」の
制作を頼まれた話をうかがう。大きな鉄の鎌なのだが、
これは避雷針として使われてきたものらしい。何年かおきに
作り直され、堺の鍛錬所の間での当番制になっている。
次にこの鍛錬所が担当するのは、二百数十年後になるのだとか。
堺の町は、数百年単位の中で呼吸しているなあ、
としみじみ実感させられる一事だった。
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堺物語(その7) [旅]

軒先を借りてはいたが、雨の中三十分近く、
「堺伝統産業館」の開館を待っていた私たち、
十人。プラス二、三人。産業館の人たちは
開館時間五分前に開けてくれたのだった。

この産業館の二階の、刃物の展示は特に
素晴らしかった!日本にこんなに多種類の
刃物があるなんて、知らなかった。もちろん、
刃物というものが、切る対象によって形や
切れ味が異なる、と言うことは知っていたものの、
特に東西によって、形が異なるとは驚きだった。

鰻を裂く包丁が関西と関東で異なるのは有名だが、
柳刃が関東では主に「蛸引」になるなんて!
最初は、タコを斬る包丁か、と思ってしまったけど。

他にも餅切り用、ソバ包丁、鮪専用、フグ包丁、
さらには薬草用、布切り用・・・と種類が多いのだった。

この日、堺の刃物文化を継承している鍛冶屋敷街に
向かい、鍛錬の現場を見学させてもらうことになっていた。
その前に、堺の旧家・山口家の見学が入っている。
さほど離れてはいないが、タクシーを呼んでもらう。
雨はいよいよ、激しくなっていたので。
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堺物語(その6) [旅]

翌朝、六時半ころに起きてみると空は重たく
曇っているものの、雨は降っていない。
朝食後、詠草を作り、詠草係のTさんの部屋に行くと
ドアの前に封筒が貼ってあった。詠草入れのポスト!
素敵なアイディアでした。ちなみに私が一番最初の
投函者みたいでした。

窓から見えていた境港を散歩する。沖合に台風が近づいて
いるらしいが、風はさほど強くない。港とはいえ、
ここは旧港で、湾のように取り囲まれ、現在の港は、
もっと沖に近い方にあるとのこと。堺の町を見渡す、
龍女神の像がすらりと立っているのを見ながら一巡りする。

部屋に帰ると、同室のYさんから、雨の降らないうちに
観光をすませて、歌会は午後からにしようか、と
予定の変更を相談された。すぐに賛成して、皆に伝える。

荷物をホテルに預け、街に繰り出したのは九時過ぎ。
まさにその時に、雨が降り出してきたのだから不運である。
大通りに出て、待ちかねていた路面電車・阪堺電鉄に乗る。
伝統産業館に向かったのだが、なんとここは十時の開店という。
軒先のテーブルで、雨宿りを兼ねて待たせてもらう。
その間、Tさんは少し離れたコンビニまで、詠草のコピーを
しに出掛けて下さった。ずぶ濡れにさせちゃって申し訳ない。
「こんなオフ会、ものすごく印象に残っちゃって、
一番忘れられない会になること間違いないね」と言い合った。

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