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味園ユニバース [映画]

例によって、WOWOWで録画しておいた映画
予備知識ゼロ。
録画した動機は程よい長さの邦画だから、見やすいだろうというだけ。

刑期を終えたらしい三十代の男。
刑務所を出されて間もなく、何者かに襲われ、
所持品を奪われ、さらに体中は傷だらけ。
これからこの男、どうなるの?

と見ていると、ふらふらとコンサート中の野外ステージに上がり込み、
いきなりマイクを奪うや否や、歌いだす。う、うまい・・・。
ものすごく艶があり、伸びがあり、声量があり、憂愁も帯びた素晴らしい声!
周囲は唖然とし・・・。見ていた私も、慌てて、調べることに。
この男、殴られて記憶を失い、ポチ男と名付けられて、
音楽事務所を営む少女と同居生活を始めることになるのだが、
演じているのは、関ジャニ∞の渋谷すばる、という人だった。

関ジャニというジャニーズ系のグループは耳にしたことがあるけれど、
個々のメンバーは全く知らなかった私。
あ~、歌うまいんだなあ、とほれぼれ。

この映画はストーリー展開の面ではいろいろ、難があるとは思ったが、
この渋谷すばると言う人の歌唱力は、聞くものをくぎ付けにする魅力がある。
自分が何者かわからないまま、ただ、歌だけは忘れていない、
歌だけを愛している、という設定はなかなかいいのでは、と思わされるほどに。

彼が寄り添っていくことになる、赤犬というバンドは?
う~ん、今一つ。
だいたい、渋谷すばるという個性とは全く異質な感じがする。

でも、また聞きたい。映画とは別に、この渋谷すばるの歌を、
と思うきっかけを与えてくれた。



あの頃(亡き人へ) [生活]

父の仕事の都合で、都立の入学試験に間に合わなかった。
補欠募集している高校しか入学できず、
私は渋々都立Y高に入学することになった。

苦痛に満ちた三年間だった。
でも、私は人生のどこかで、同様の苦痛を体験せざるを
得なかったのではないか。と今は思う。
それなら、はしかと同じ。若いころの方が痛み軽く、
回復も早かったのだ、と安堵すべきなのかも。

Xは、そのY高の同学年だった男子生徒である。
同じクラスになったことはないが、私の同級のYと
中学が同じだったとかで、しばしば私たちの教室に入り込んできていた。
XがYに好意を寄せているのは、
見え見えで、Yはそれを軽くいなしている、と言う感じだった。

彼は小柄で顔色が悪く、成績とか運動とかで目立つ様子もない。
だからだろうか、何か妙に自意識過剰なところがあって
甲高い声で、つまらない冗談を言っては周囲を白けさせていた。

たとえば、現在ならどうだろう。
自分に自信のない子は、高校生くらいにもなれば
それなりの安住の場をみつけて目立たないように生きていく、のではないか。

でも、あの六十年代後半は、特に男子には、
外部からの違う圧力があったように思える。
息苦しいような、密度の濃い時間が流れていた、気がする。

Xは卒業を数日に控えた三月のある日、突然亡くなった。
バイクでの通学は禁止されていたのに、
免許を取得したばかりの男子が乗ってきたバイクを強引に借りて
校舎の周りを得意げに乗り回し、
事故を起こしたのである。彼は無免許だった。

その時に私の担任が言った言葉は、嫌悪と共に忘れられずにいる。
「隣のクラスのXが死んだよ。
よっぽどこのY高を愛していたんだな。
校門に抱きついて、逝ってしまった」

今なら、たとえば、オタクになれる。
違う生き方ができたのではないか、
と今も思うことがある。

インドの味 [食文化]

「インドにまた行きたいなあ」
ときどき、相棒が言う。
「凄く、切ないほど懐かしくなる場所って
そうそうないけど、インドは間違いなくその一つだよね」
と、私も相槌を打つ。そう言いながら
「でも、インドに足を踏み入れた途端、なんでまだ、
こんなところに来てしまったんだろう、何を血迷ったんだろう」
って、思うに決まっているんだ。

どこもかしこも、汚くて、臭くて、限りなく不衛生な上、野良の動物が多すぎる。
犬、猫、猿、牛、ネズミ、ヤギ、猪、ところによってはゾウまで!
ある町でいきなり結婚式パレード
出会い、見ていたら、後ろから押された。
振り向くと、なんとそれが牛だったこともあった・・・。

多すぎる人間は、よそ者を放っておいてはくれない。
アレを買え、これを食べろ、どこどこを案内してやる、
喜捨をしろ、どこから来た、どこへ行きたい・・・。
次々にやってきては、蠅のようにまとわりつく。

いやなところだ、いやなところだけれど。
帰国するとまた行きたくなるのは、食べ物のせいもあるかも。
嗅覚を幻惑するきつい香辛料、痺れるほどに辛く、
めまいがするほどの激しい色彩。
一目見てすぐ、気持ちが引き、げんなりするのに、
食べ始めると、まるで麻薬のようにその味の虜になってしまう。

不思議な甘さの、カブリナン、ヒヨコマメのカレー、
香ばしいタンドーリチキン、素晴らしいのど越しのラッシイ。
食べ始めたら、たちまちのうちにお腹を壊してしまい、
ひどく憔悴してしまうことも、もう知っている。
でも、あの味が忘れられなくなる。

帰国してからも、インドで味わった食べ物を求めて、
もう何軒もインド料理店を訪れた。
でも、日本にはない。この衛生的な日本では味わえない。
インドに行くしかないのだが・・・。

「インド、また行きたいよね」
噂するだけで、今年も暮れていく・・・・・。

ハネムーン [映画]

WOWOWから録画した一本。
「恐怖映画だよ」と言いつつ、相棒が観たがったもの。

NYに住む若い二人がハネムーンの場所に選んだのは、
彼女が子供時代を過ごした湖のそば森の中の家。
誰からも邪魔されない、アツアツのハネムーンが始まるのだが。

二人が近くのみすぼらしいレストランを訪れたときから、
状況は微妙に変化していく。このレストランの店主は
彼女の幼友達だった。親しげな様子に嫉妬し始める新郎。

翌朝、彼女の姿が家の中から消え、必死に探し回る新郎は
森の中で裸で震えている彼女を見つけて驚愕する。
彼女は夢遊病を患っている、と打ち明けるのだが・・・。

新妻が微妙に変わっていくことに不安を感じ、
以前の彼女を取り戻そうとする夫の演技もいい。
朗らかで可憐だった新妻が、
まるで仮面を、それも薄い絹のようなものから
やがて、分厚くこころを覆っていくように
表情を変化させていく、その演技はさらに見ものである。

だから引き込まれて最後まで観てしまったのは、彼らの演技力のおかげであって、
ストーリー展開の方ではない。
当初心理的な恐怖映画と思われていたものが
後半に至って、やけくそのように、オカルトめいていくからである。
これはもう、興ざめだった・・・のだが。

これは男性にとっての結婚が、
消して幸せにつながらない、という教訓をもたらすものなのか。
彼女のお腹からずるずるとのびてきた「生きもの」はなんだったんだろう。