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ある歌集 [短歌]

最近、ある方から送られてきた新刊歌集。

この世界じゃ、未知の人から歌集を寄贈されることは多いけれど。
作者の女性とは、私が短歌に興味を持ち、初めて出席したある歌会で、
一度会っている。当時彼女は卒業間近の学生。郷里での就職
決まっている、とのことだった。

それからなんと、三十五年。私はなぜか彼女と年賀状だけは
交わし続けてきたのである。それでいて、短歌については
互いに一度も触れたことがなく、私は彼女がもう、歌をやめた、
と思い込んでいた。
私は彼女の歌の大ファンだったから、やめてしまうなんて、
本当に惜しい、と思いながら過ごしてきたのである。今も、
彼女の若い日の歌(知っている歌は少ないが)を何首か、暗誦できるくらいに・・・。

彼女は、学生時代に入っていた(私が初めて参加した
歌会を主催していた)結社に席を置きながら、
断続的に作歌していたらしい。

歌をやめていなかった、ということは、本当にうれしかったけれど
若い日の作品が歌集から一切、排除されていたことは残念で、複雑な思いがした。

彼女の入っていた結社は、歌の世界では結構、名の知られた、
会員もそれなりに多いところである。でも・・・・。
若い人を育てる、あるいは女性の感性を大事にする、
ということは、おろそかなところなんじゃないか、
という気がする。会員の女性率は、七割以上だろう。
でも、雑誌の広告を見ると、編集に携わる人として、
女性は二人しか掲載されていない。
あとの十人ほどは、年老いた男性ばかり。

なんだか、苦い感覚が口の中に広がってくる。
もちろん、彼女が短歌に対してこういう経緯をたどったことは、
結社のせい、というわけではないだろう。でも、それなりの
影響はあったのではないか。少なくとも歌集の形は、
結社の方向性、指針のようなものは影響していないだろうか。

ほんの短い間だが、この結社に入ろうか、
と思っていたことを、思い出す。よかった、「塔」で・・・。
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