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藤沢周平体験(その4) [文学]

藤沢周平の作品を時々、思い出したように
手に取ってきたのは、多くは短編で、
待ち時間などがあるときに用意していくと便利だったから。
内容も肩の凝らないエンターテイメント系で、読みやすい。

ところが、昨年、『一茶』を読んで、この作家の印象が
大きく変わってしまった。ご存知、北信濃出身の俳人の、
伝記風の作品だったのである。

一茶なら、小学生の頃からその作品を知っている。
「やれ打つな蠅が手をすり足をする」
「痩せ蛙負けるな一茶これにあり」
などという俳句は、子供にもわかりやすく、
優しく素朴な文人なんだ、とずっと思ってきていた。

でも、藤沢の『一茶』には、まったく衝撃を受けた。
そんな一茶のイメージを大きく変える、
なんというか、ものすごくしたたかで
豪胆な人物として描き出されていたからである。

俳人として江戸でそれなりに名を挙げた彼は、
だが、もちろん、俳句だけで食べていくことなんか
できなかった。それでどうしたかというと・・。

彼は俳句に理解のある豪農や豪商に近づき、
援助してもらえるように立ち回る。
「地方で句を広めるための旅に出る」
といっては餞別をもらい、それを生活費に充てる。
地方では各地の豪農宅に泊めてもらって、
そこで句会をしながら、しばらく糊口を凌ぐ・・・。

なんだか、今の歌人の実態とそう大きくは変わらんような・・・。
藤沢は一茶の作品に惑わされず、その実態を冷静に、
かつ冷酷に暴いているように読めたのだった。
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